一般社団法人日本経済団体連合会は9月17日、2024年度規制改革要望を発表した。成長と分配の好循環を実現するためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)や新たな成長分野の競争力の強化が必要だとし、「デジタル」「環境」「人の活躍」「新産業の成長」という4つの柱に沿って規制改革要望をまとめた。

特に環境分野では、サーキュラーエコノミーを促進する規制・制度改革を求めている。

  • 使用済みの靴の再資源化促進に向けた制度整備
  • 消費者から回収した再資源化目的の廃棄物に関する輸出規制緩和
  • プラ新法での自主回収・再資源化に際しての再委託の容認
  • 排出場所と同一敷地内での廃棄物発電事業等の容易化
  • 親子会社間における廃棄物の保管・委託等の一体的推進の容易化
  • 店頭回収されたペットボトル等の効率的な収集運搬の加速化
  • 小型家電リサイクル法の認定に係る登録管理項目の一部緩和

使用済みの靴の再資源化促進に関する制度整備の背景には、世界では年間239億足の靴が生産され、その90%以上が廃棄される現状がある。靴の再資源化を促進するため、拡大生産者責任に則り製造事業者が自社の製品の再生や処理の工程に関与することを促す、広域認定制度に靴を追加する案が提案されている。この制度を通して、事業者による資源循環への取り組みが後押しされると期待される。

また、消費者から回収した再資源化目的の廃棄物の輸出規制緩和も要望されている。生活環境の保全や公衆衛生の向上のため、廃棄物の不法な輸出入を厳しく取り締まる必要がある一方で、規制緩和により、事業者が使用済み製品を効率的に処理し、海外企業の技術を活用して再資源化を行うことが容易になる。例えば使用済みの靴など、企業は自らのサプライチェーンを活用し、再資源化に取り組むことができる。

日本経済団体連合会は、規制改革推進会議を通じて、政府に対してこれらの提案を実行に移すように求めている。

【プレスリリース】2024年度規制改革要望
【関連記事】経団連、3年ぶりに生物多様性への取組に関するアンケートを実施。生物多様性の主流化が進むも、技術面での課題が顕在化
【関連記事】経団連と経団連自然保護協議会、「経団連生物多様性宣言・行動指針」を改定
【関連記事】経団連、サーキュラーエコノミー実現に向けた提言を発表。目指すべき方向性と課題を提示