スイスに本拠を置くネスレのシリアル部門であるネスレシリアルはこのほど、英国の小麦農家における環境再生型農業への移行を支援する持続可能農業イニシアチブ「ネスレ小麦計画(以下、同計画)」を開始することを発表した。

同計画および見解について、ネスレシリアルは以下を示した。

英国ではすでに多くの農家が同計画に参加しており、今後数年で参加する農家を着実に増やしていくことを目指している。同計画は、環境保護に共通の関心を持つ企業による共同事業「ランドスケープ・エンタープライズ・ネットワーク(LENs)」や小麦農家と協力し、農業による環境負荷を低減して、英国における持続可能な小麦調達を促進することを目的とする。小麦の栽培環境を保護しながらより良い朝食をつくるという取り組みの一環として実施する。

農家がより持続可能な農法で小麦を栽培することを同計画は支援している。その理由は、環境再生型農業への移行は農薬使用量・CO2排出量・土壌浸食を削減すると同時に、土壌有機物を増加させて生物多様性を向上させるからだ。これらの実現に向けて、「水質を保全し、土壌浸食を防止するための被覆作物の栽培」「土壌を健康に保ち、大気中へのCO2排出量を削減するための耕作の頻度削減」「生物多様性保全のための新たな生息地をつくり、大気中からCO2を吸収し、雨天時に土壌から水分を吸収する生け垣の設置」などに取り組む。

同計画の開始を後押しするため、ネスレシリアルはすべての主要小売店で販売されるシリアル製品「シュレッドウィート」の容器包装に同計画について記載した。なお、同計画は2050年までにネットゼロを達成するというネスレの公約にも貢献するとしている。

ネスレの子会社のネスレ英国・アイルランドで調達責任者を務めるRobin Sundaram 氏は、「当計画の発表は、小麦の栽培環境に好影響を与えながら美味しい朝食用シリアルを製造するという当社の長期的な取り組みと野心的な計画を証明するものです。作物の栽培は自然環境に依存しており、天候の変化が原因で不確実性が生じることを当社は知っています。気候変動により、この不確実性は悪化の一途をたどっていることも理解しています。小麦農家の環境再生型農業への移行を支援することで、長期的にはレジリエンスを高めるとともに、炭素・洪水緩和・水質・大気質・土壌の健康に恩恵がもたらされて環境負荷を低減できます。最終的には、シリアルを生産し続けるために必要となる小麦の安定供給にもつながります」と述べた。

【プレスリリース】Nestlé Cereals announces launch of its ‘Wheat Plan’ to support UK farmers adopting regenerative agriculture practices
【参照サイト】East Anglian farmers join forces with Nestlé and Anglian Water to improve landscape in East Anglia
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*冒頭の画像の出典:ネスレ