慶應義塾大学 SFC 研究所(神奈川県藤沢市)と大成建設は、新しい資源循環の概念として考案した「Vortex Economy」を実現する未来のまちづくり構想「Vortex City」を発表。同構想を描いたコンセプト動画を制作し、このほど一般公開を開始した。

慶應義塾大学と大成建設は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)【地域共創分野・育成型】の「デジタル駆動超資源循環参加型社会共創拠点」(プロジェクトリーダー:田中浩也 環境情報学部教授)の研究活動の一環として、未来の資源循環社会について検討を進め、新しい資源循環の概念「Vortex Economy」を考案した。この新たな概念は、近年社会に広がる環境への意識をさらに向上させ、資源を循環させるサーキュラーエコノミーの概念を発展させた経済モデルだとしている。他産業を含めたさまざまな資源をつなげながら転用していくカスケード利用を進め、これまで有効活用されなかったプラスチックや自然から発生する不要物も含めて、ごみを資源に、さらにはまちの資産へと積極的に価値を高めていくことを目指すという。

両者は今後、「Vortex Economy」を取り入れたまち「Vortex City」について、大学や自治体、民間企業、団体などさまざまな分野から 20社以上が参加するコンソーシアム内に新たに設置する分科会で、コンソーシアム参加者とともに未来の循環型社会のあるべき姿を検討、その実現に向けて取り組むとしている。

プロジェクトリーダーの田中浩也 環境情報学部教授は「今回の動画制作では、第一に企業の視点ではなく、市民の暮らしの視点から未来の物語を紡ぐこと、第二に具体的な『まち』全体の姿や新しい『施設』のイメージを含めること、第三に大学の研究がいきいきと社会実装されていく可能性を伝えること、という3点に挑戦したいと考えました。今後はこの構想を具体化すべく、コンソーシアムでの検討を深めていくと同時に、地域研究フィールドの充実化をはかり、次年度以降のパイロットプロジェクトを企画していきたい」などとコメントしている。

田中教授をリーダーとする本プロジェクトでは、神奈川県鎌倉市内に開設したプラスチックリサイクル実証施設である「リサイクリエーション慶応鎌倉ラボ」を起点に、プラスチック容器包装の回収拠点として「資源ポスト」を同市内各地に設置。回収した資源をベンチや遊具などの街の公共財として還元することを構想するなど、街ぐるみでの資源循環に取り組んでいる。

【「Vortex City」コンセプト動画】

【プレスリリース】新しい資源循環を実現したまち「Vortex City」の構想を発表 -未来の循環型社会構築にむけてコンセプト動画を共創-
【プレスリリース】新しい資源循環を実現したまち「Vortex City」のHP公開を開始

冒頭の画像の出典は、慶應義塾大学 SFC 研究所