目次
本連載ではこれまで、2022年3月に発表された「持続可能な製品イニシアチブ」(SPI)について見てきた。最終回では、現時点で想定される、これらの一連のパッケージが与える日本への影響や今後の予期すべき展開を見ていく。
1. SPIやDPP(デジタル製品パスポート)がもたらす影響例
まずは、SPIやその目玉であるDPPがもたらす影響例をここでは次の5つの点に絞って考えてみたい。ただし、議論の進展や情報がアップデートされれば、これらの影響は解決されるかもしれないし、他の影響が生じうることを付け加えておきたい。
1.EU域内の持続可能な製品市場の確立と拡大
SPIのねらいの一つは持続可能な製品市場の立ち上げを確実なものとし、この分野における他国に対する優位性を確保しようというものだ。
概して環境意識が高まるEU市民のニーズに応える持続可能性の高い製品を投入し、この分野への大規模で継続的な投資を呼び込むことにより、持続可能性の高い市場の確立を目指している。
そのため、日本においても炭素排出量を抑えた製品開発が進むが、欧州市場で経済活動を実施する日系を含めた域外企業にとっては対応コストの発生が想定されるだろう。また、製品の選定基準に持続可能性という観点が加わるが、それが情報可視化により比較可能になる。これまで品質において優位にある場合でも、持続可能性が低い場合は総合的に劣後していると捉えられるケースが増えることも考えられる。
2. 原料や中間製品をEU企業に納入する企業への影響
回収やリサイクルが進み、RRRDR(リマニュファクチュアリング、リファービッシュ、リペア、直接リユース)が進めば、原料や中間製品メーカーにとっての市場機会を逸することにもなりかねない。
たとえば、カーペットやマットレスなどの循環化ソリューションを展開する蘭Niagaは、DPPとしてNiaga Tag®をパートナー企業と展開する。含有物質に加え、回収場所など消費者にとって必要な情報も提示。
この記事は、Circular Economy Hub 会員専用記事となります。