持続可能なファッションを目指すプラットフォームのFashion For Good はユトレヒト大学などと共同で、ファッションのEコマース(EC)において再利用可能な包装が実現された場合、従来型の使い捨て包装と比較して環境に与える影響がどの程度軽減されるかという実証結果を発表した。同レポートでは再利用可能な包装システム構築に当たっての観点も事例とともに提供している。例えば、再利用可能な包装の実現により環境負荷の低減を実現するには、包装の返却率を高めることや、包装自体を再生材で作ること、包装のクリーニングやメンテナンスを配送センター内で行い輸送距離を縮めること、返却ポイント数や種類を増やすことなどが必要であるとしている。
ECの成長に伴う使い捨て包装
ファッション業界にはあらゆる形状の包装がいたるところに存在し、使い捨てのプラスチックやカートンがECの急成長に一役買っていることは明確である。すでに世界中のECの中で最大規模を占めるファッションは、2024年までに年間10%の成長が見込まれる。新型コロナウイルス感染拡大により実店舗の閉鎖が相次いだが、ECの需要はさらに高まった。それと相まって、商品が出荷される際に使用される使い捨て包装も急増し、バージン資源の使用や、配達後の包装が大量に廃棄されるという課題が生まれている。
再利用可能な包装
包装を使い捨てのものから再利用可能なものに移行することは、原材料の生産、利用後の廃棄と汚染、さらには温室効果ガスの排出量を減らすことに大きく貢献する。環境上の利点に加え、再利用可能な包装はEC業者が顧客に対し独自の顧客体験を提供する機会にもつながる。
調査 – 主要な変数に対する影響の分析
再利用可能な素材の利点は多くあるように見える一方、現在多く使用されている低密度ポリエチレン(LDPE)の包装と比較して、その影響を評価する際に考慮するべき要因がある。
例えば、再利用可能な包装は、顧客が包装を返却することで初めて機能するものであり、顧客からの返却率がシステム実現の可能性にどのように影響するかを見ることが重要である。さらに、包装そのものに再生材を使用することが、使い捨て包装と再利用可能な包装を比較する上でどのように影響するか、という点を見ることも欠かせない。
分析結果
分析では、主要な変数を考慮し、使い捨て包装と再利用可能な包装システムに関連するCO2排出量を比較した。
この記事は、Circular Economy Hub 会員専用記事となります。