EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)は8月20日、エンジン車の製造プロセスにリマニュファクチャリング(リマニ)を導入することで、CO2排出量を削減する試算結果を公表した。
リマニとは、使用済み製品から部品を回収して再利用し、新品同様の品質で市場に提供する仕組みであり、資源効率やエネルギー効率を向上させる効果が期待されている。今回の試算では、エンジン車の部品の50%をリマニ化することで、ライフサイクル全体で電気自動車(EV)よりも優れたCO2削減効果が示されたという。
具体的には、リマニ化したエンジン車(リマニ車)と新品のEVの、製造・組立・走行・廃棄・リサイクルの全工程におけるCO2排出量を試算し比較。EVのバッテリーサイズや走行期間に関係なく、リマニ車の方が全工程でのCO2排出量が抑えられる結果となった。さらに、今後ガソリンから合成燃料へのシフトが実現すると、リマニ車の優位性はさらに高まる可能性がある。
エンジン車はEVと比べると部品点数が多く、雇用への貢献が大きい。部品点数が少なく、基幹部品であるバッテリーの供給を資源国に依存するEVへの移行は、日本にとっては経済安全保障の観点から望ましくないと同社は指摘。自動車業界の経営戦略にリマニ化が組み込まれることで、日本の経済安全保障の確保とカーボンニュートラルの実現の両方に寄与するとしている。EYSCは、日本の自動車業界が経済安全保障と環境保全の両立を目指し、リマニを戦略的に取り入れることを提言している。
【プレスリリース】EY Japan、エンジン車の50%リマニュファクチャリングによってEVのCO2排出量より優位になると試算
【関連記事】経産省中部経済産業局、自動車産業のサーキュラーエコノミー移行に向けたアクションプラン公表
【関連記事】自動車リサイクルの再生材利用拡大に向けた技術実証がスタート。産学連携で自動車産業のサーキュラーエコノミー実現を目指す
【関連記事】自動車リサイクル促進センターが2024年度事業計画を策定。リサイクル、適正処理の促進に注力