武田薬品工業株式会社は1月24日、日本国内で製造される自社製品の二次包装印刷について、特色インクからCMYKインクへの切り替えを決定したと発表した。インクの使用量と廃棄量、印刷機の洗浄に使用する溶剤の使用量と廃棄量を削減することで、環境負荷低減を促進する。

日本の医療用医薬品業界では、製品の二次包装の印刷に特色インクが用いられることが多い。一色ごとにあらかじめ複数のインクを調合し、特色インクを作成して印刷を行っているのだ。また、印刷する製品を変更する際に、インクの色替えが必要となるため、印刷機の洗浄が必要となる。

一方で、CMYKインクによる印刷は、シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、キー・プレート(黒)の4色の組み合わせで多様な色を表現する。特色インクによる印刷と比べ、使用するインクの種類・量を低減でき、製品を切り替える際の印刷機洗浄も不要だ。

今回のインクの切り替えは、同社がグローバルで進めるアートワーク管理(医薬品の組箱、取扱説明書、ラベルなどの二次包装材料の印刷や、表示の設計、編集、管理など)による環境負荷低減の取り組みの第一段階として位置付けられている。具体的には、同社の「キュービトル®20%皮下注」の組箱全体の印刷に、CMYKインクが採用されている。インクの切り替えにより、サプライヤーの印刷工程におけるインクの使用量および廃棄量、さらに印刷機の洗浄に使用する溶剤の使用量および廃棄量の削減に繋げる狙い。また、将来的なコスト削減につながるという期待もある。

今後は、2026年までに新製品・既存品を問わず、同社が国内で製造する製品のすべての二次包装を、CMYKインクに切り替える予定。将来的には、デジタル印刷の採用も見据えて検討を進めていく。デジタル印刷は刷版が不要となるため、刷版製作時の水や溶剤の削減、刷版そのものの廃棄が無くなることで、さらなる環境負荷の低減が期待できる。

また、こうした取り組みの状況や成果を他社とも共有することで、業界全体で二次包装印刷における環境負荷低減を目指す考え。グローバル全体で、環境負荷低減に関するデータを収集し、印刷工程の詳細なライフサイクルアセスメントに取り組む考えを示した。

【プレスリリース】環境負荷低減を目的とした医療用医薬品の二次包装印刷のCMYKインクへの変更について
【関連記事】キリン、リサイクル対応ペットボトル直接印刷技術を開発。水平リサイクル推進を目指す
【関連記事】大日本印刷を含む4社、耐水紙とパウチから成る分別廃棄可能な紙製ボトルの開発を開始
【関連記事】世界経済フォーラム、企業61社の「ステークホルダー資本主義指標」への賛同を発表。共通のESG指標を支援
【関連記事】大日本印刷、単一素材のフィルムパッケージを開発。コルゲート社が東南アジアで販売
※画像の出典:武田薬品工業株式会社